身の毛がよだったお話

  相続財産管理人として、被相続人のマンションに行った。売却処分に向けて、現況確認と必要な資料の存否の確認のためである。
被相続人は、50代前半で亡くなられた独身女性であった。
最上階にある広いマンションの一室についたのは午後3時すぎ、外は明るいといっても、部屋に入ると、すでに電気は止めてあるので、やはり薄暗い。
女性の一人暮らしであったせいであろう、各部屋はこぎれいに整っている。...
一部屋ずつ戸を開けて遺品の確認をしていると、、ふとドアが半開きになっている部屋が目に入った。入り口に立って中を覗くとベッドが見える。
半開きのドアを押しながら中に入り、窓際のベッドまで行き、枕元にある小箱に手を伸ばした・・・・

と、そのとき、ベッドの後ろの方で、スッと黒いものが動いた!


「なななんなんだっ!!」
体が止まり、全身の身の毛がよだった。

気合いを入れ直して、必死に振り向くと・・・
そこには、全面ガラス張りの洋服ダンスに、顔を引きつらせて身構えている自分の姿が写っていた。

こんなところで、一人、顔を引きつらせたまま心臓発作で死んでいたら、弁護士変死事件として迷宮入りしていただろう。

それにしても、ほんと、びびった。